文字サイズ

カテゴリー: 巻頭言(江口大象)

遠き未来と近き現実

 考えても何にもならない話から始めよう。でもこんな夢みたいな詰も私の好きな領域の一つ。  地球上の全ての動植物は約十億年後ぐらいには絶滅するそうだ。昨年の夏は猛暑でしたね、なんて呑気なこと言っている場合じゃない。第一熱す […]

続きを読む »

昭和平成の書道史

私が小坂先生に入門した理由はいろいろあるが、その一つに楷書の左払いがあった。決してきれいに払わない。どことなく筆先が縺れたような、なんともいえない含み。ガサガサでもない、行書、草書になるともっと顕著になるのだが、あれを何 […]

続きを読む »

気楽に生活、いや逆らうか

やろうと思えば数カ月先のすべきことは山ほどある。しかし明日の仕事はない。稽古、審査、解説、講演などなどそれらが何もない夜。そんな夜が一番気が楽でよい。明日はいつまで寝てもよい、と思うだけで気が休まる。 午後十一時、もう寝 […]

続きを読む »

聞きたくないことば

「江口君、『何々の中で』といういい方はしてほしくないんじゃ。あれはすかん」 私が教員になりたてのころは、教職員組合の運動が盛んで、その組合ことばによく使われていた。私も「何々の中で……」は、ことばとして好きではなかったの […]

続きを読む »

世の東西

サインをしたあとのトランプさんのあの得意気な顔のことまで書いてあとは翌日、とまではよかったが、その巻頭言の書きかけがどこを探しても見当たらない。きのうのことなのに、と思い外の急ぎの原稿に手をつけもう一度探す。ない-。多分 […]

続きを読む »

日本の文化

三月三十一日プロ野球が開幕した。昔はたまに甲子園までプロや高校球児の試合を見に行っていたのに、もうそんな元気もない。海外旅行と同じくもうやめたと宣言している。 日本人は大リーグに行ってもグラウンドで唾を吐かないのではない […]

続きを読む »

昔の話(4)

泣く子を黙らすために吾が子の口を塞ぐ、敵に見つかればそれまでで、逃避行中の小さな一団は皆殺しに遭う。そんな話は日本に引揚げてから何度か聞いた。気がついたら吾が子は死んでいたということもあったろう。満州(今の遼寧省)の奥地 […]

続きを読む »

心眼

今年から私の巻頭言は奇数月だけにした。この上何を減らそうかと只今思案中。今まで小坂先生をモデルに毛筆手本類は書けるところまで書こうとは思っているが、巻頭言は先生がされたように数年前から中野南風、加登亙川、私が書いていた。 […]

続きを読む »

十億年後の話

今まで一万二千年前ごろまで生きていたとされていた「インドネシア・フローレス原人」は、五万年ほど前から生存していたと英科学誌ネイチャーに発表された。 フローレス原人は成人でも身長が110ほどの小型らしく、それから数万年の間 […]

続きを読む »

痩せた腕

私の二の腕は細い。近所の掛かり付けの医者も何かの予防注射の際に差し出した腕を見て思わず「痩せてるねぇ」と大声を出した。しかし細いのは腕だけで、中学でちょっとの間でも陸上をやっていたせいか脚だけは太かった。当時は競輪選手に […]

続きを読む »