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遠き未来と近き現実

 考えても何にもならない話から始めよう。でもこんな夢みたいな詰も私の好きな領域の一つ。

 地球上の全ての動植物は約十億年後ぐらいには絶滅するそうだ。昨年の夏は猛暑でしたね、なんて呑気なこと言っている場合じゃない。第一熱すぎて海の水が皆干上がるなどといっている。もちろん突然そうなるわけでなく、徐々になるのだろうから熱帯夜はこれから数千年にわたり上り続けるだろう覚悟はしておいた方がいい。

 原因は太陽の老化。膨張して水星も金星も呑み込まれる。地球は灼熱。かわりに火星の地下に眠る氷が溶け出し気温も現在の地球と似たものになっているだろう—いやいや急ぐでない、それは約三十五億年後の話。
 といってもこれが本当の話なら、遠からず地球に住む人類は大移動を余儀なくされるに違いない。何年かかりますかなあ。それも限られた金持ちだけ?一般の動物は当然死ぬ。植物はもちろん。

 少し昔の話。遠い昔の生きものだと思っている恐竜が(たった)二億五千万年~六千六百万年前に大繁殖して地球の王者になってすぐ(約六千五百万年前か)大隕石の落下によって気候が一変、永い間厚い雪が地球を覆って、餌にしていた草木がなくなり、それを海中や地上の小動物に求めて凌いだものの全滅、ほんのしばらくは爪の長いもの歯の長いものに進化したものが生き延びていたらしい。

 さて今の人類は生き延びるために今後どんなものを主食にし、それを食べやすくする人体にどう変化してゆくのでしょうね。どれはどの長い年をかけて—。雌が雄を選ぶとき、少しでも長生きをしてくれそうな特徴を持ったのが目安だそうですよ。

 さてここからは喫緊の話。長くなりそうなので箇条書きにしよう。ここ二十数年後ぐらいのことらしい。順不同。
▼コンピューターが大活躍して何でもかでもしてくれるので人間の仕事がなくなる。例えば手術もしてくれる。▼会社がなくなる。大会社の雇う人数は極端に減る。▼お札、硬貨がなくなる。すべてカード、ピットコイン。▼中国ではすでに店員のいない店がある。▼人間の寿命は百五十歳までのびるといわれるようになる。▼離婚、転職、大学中退などは普通のこととなる。▼太陽光発電で全ての電力が賄える。▼電気なしで電池を作る工場ができる。▼電気自動車だけになる。▼海外旅行は現地に行かなくてすむので飛行機はほとんどなくなる。▼建築費用がとても安くなる。▼交通手段は大抵ドローン。それが空一杯に飛んでいる。多分無事故。▼何もしなくてよくなった人間は?スポーツ、芸術(この中に書道も入れよう)、いろいろな趣味、社会貢献活動などなどに生甲斐を求める。

 この話、私はすでにこの世にいませんので責任は持ちかねます。

江口大象(書源2019年5月号より)

 
   

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