投稿日: 2016-12-02
カテゴリ: 巻頭言(江口大象)
思わず六百号の記念の作品に「破顔大笑」と書いてしまった。今まで自作を自宅に飾らないことを心に決めていたのに、璞社書展終了後は我が家の玄関に掛けることにした。
数少ない私の自慢話の一つに「書源」の創刊号から編集に関わって来たことがある。雑誌の発行だけならまだしも、その他のいろいろな仕事(そちらが本業)を含めると本当に目の廻る忙しさであった。発刊に至るまでの話し合い、実際に毎月出始めてからの無限に膨らむ想定外の雑用、家内と二人で始めた無暴な仕事に溜息のみであった(五十巻一号に多少詳しい)。
そうかもう六百号か、よく続けられたもんだと最近この十数年はどは一人腕組みして皆の仕事ぶりを他人事のように眺めている。
五百号は平成二十年八号であった。そこでは「允執其中」と書いた。小坂先生が第二回の璞社書展に書かれた文句であるが、言うまでもなくわが璞社の神髄だろう。うちには「遊於藝」と書かれた二百号の額と「不如学」と書かれた二百五十号の軸がある。
私は破顔一笑をもじって大笑として、自分で自分を褒めた。やはり六百号はうれしかったのである。
さて次の目標を八年数カ月後の七百号にできるのか。まあやれるだけやりましょう。まだやりたいこと、書きたいこと、いいたいことがありそうなので—。
江口大象(書源2016年12月号より)
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