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来年4月のこと

書くことは山ほどある、ネタはいっばいだ、とこの間書いたばかりなのに、さて机の前に坐ると何を書いていいのかさっぱりわからない。

そうだ個展のことでも書くか。私は昨年の10月頃だったか、最後の個展を再来年の末あたりにしようと思い立った。で、書芸院の忘年会の日に、前回の原田の森美術館との交渉でお世話になった田頭一舟氏にその旨を告げた。再来年だったらいつでもいいですけど、できれば11月がいいですね、などと呑気なことを言っていたら、もうほとんど詰まっていますよ、というファックスが届いて、あわててインターネットで調べてもらったら、全く田頭氏のいう通りほとんどが予約済みで、あいているのは平成27年の4月の1週間だけ。送っていただいた申込書にその日を予約。

もう数年前から家内にもう一回だけ個展をさせてほしいと言っていた。返事は曖昧。なぜそんなに個展に拘わるの—遺作展にどれを出したいか自分で決めておいて、今のうちに—。遺作展が大変だ、の話からだんだん「生前遺作展」の話に移って行った。昨年の初め頃だったと思う。俺が死んでも遺作展はしなくていいから—それなら賛成する、てな話になって、2年後ならまだ遠い先のことだし、と思っていた。

個展の嫌なことは「祝賀会」と「頭を下げて作品を買っていただかなくてはいけないこと」だと。これは私も家内もほぼ同意見で、祝賀会はあまり拡げず親戚と、その周辺のみ。もちろん璞社や月刊誌の購読者の方はどうぞ。作品集はいつもの個展とは違うので、旧作を中心に、新作は少しだけ。あとは売らなくていい神社仏閣への寄贈希望作品と決めさせていただいた。

これで一件落着かと思いきや、明けて今年はすでに平成26年の春である。大して寄贈希望もないだろうから書く方に力を集中しなくてもいいとはいうものの、文集はどうするか作品集はどうするか、そして何より手間がかかりそうなのが、うちに山はどある額からはがして筒状になっている旧作の選別という仕事が残っている。
考えてみれば今年中にほとんどすべてが終わっていなければいけない計算になる。そんなこと、考えなくてもわかること。
大変だ!とは思うが現実には何ひとつ手をつけていない。まあゆっくり行きましょう。しかしまあ希望作品の文句と大きさの締切ぐらいは決めておきますか、他に予定も出てくるでしょうから、7月一杯というのはどうでしょう。ご希望の神社仏閣の方、語句はそちらにお任せします。尚表具代くらいはいただくかもしれません。作品の大小、形式は問いません。

こんなこと巻頭言に書いてもいいんでしょうかね。

江口大象 (書源2014年7月号より)

 
   

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