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璞【あらたま】

  • 投稿日: 2024-01-25

  • カテゴリ: 未分類

山本 大悦(2024年1号)

 璞社設立が昭和32年(書源57巻8号巻頭言―佐藤芳越氏―には璞社設立は昭和34年か?と書かれている)で、その5年後の昭和37年に第1回璞社展(昭和60年に璞社書展と改称)が開催され、今年は63回を迎えようとしている。私の生まれは璞社創立年と同じ昭和32年なので、私の人生と璞社の歩みとが重なって感慨深いものがある。璞社発足時の理念や目的、また璞社命名の由来などはホームページに詳しく掲載されているのでご覧いただきたい。

 璞社の「璞」は訓読みで「あらたま」と読む。意味は地中から掘り出したままで、まだ磨いていない玉、磨けば光る原石のことをいう。つまり、今は未完成だが今後の努力次第で大成する可能性を秘めた人材の集まりという意味で璞社(ぼくしゃ)と命名されたのである。

 璞社会員は全員が「あらたま」なのである。ところが自分が磨けば宝石になる原石だと気付いていない人がいる。またどのように磨けばよいかわからない人がいる。磨き方は原石の種類が様々なので多種多様である。例えば、初歩の人は様々な古典と向き合い徹底的に臨書をして基礎を学ぶ必要がある。次に自分の苦手な部分を補う臨書をすればよい。文字の太細の変化や筆の抑揚を学ぼうと思えば米芾を、締め過ぎの人は顔真卿、文字間の連綿や流れは王鐸から学べばよいだろう。但しこれは一例で、これだけで良いとは思わないでほしい。また最近は指導者につかず個人で学ばれている人が増えてきたようだが、できれば自分に合う指導者につくことを勧めたい。私自身、師との出会いが今の書道人生を決定付けたように思う。いずれにしても、磨き方つまり鍛錬の方法が色々だということで、効率よく磨いてより大きな宝石になるよう自分磨きをしてほしいと思っている。いくら可能性があっても磨かなければ原石のままで宝石にはならないのだから。

 璞社会員は、皆が璞(あらたま)であることに自信と誇りをもって、鍛錬を怠らずに自分磨きをし、そして毎年、より一層磨きのかかった輝かしい作品を璞社書展で発表してほしいと願っている。

 
   

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